国際結婚手続き インドネシア
日本とインドネシアの婚姻法は大きく異なっていますので注意が必要です。
日本においては、すべての人が民法に則って結婚しますが、インドネシアにおいては、人(が信じている宗教)ごとに適用される法が異なる人的不統一法国です。
したがって、結婚されるインドネシア人のお相手が何の宗教を信仰しているかによって、ご結婚に際し適用される法(条文)が異なります。
インドネシアで公認されている宗教は、イスラム教の他に、キリスト教、仏教、ヒンドゥー教があります。
ただ、インドネシア人の大半がイスラム教徒と言われていますので、多くは下記にご説明する「お相手がイスラム教徒の場合」に該当するでしょう。
インドネシア婚姻法の概要
インドネシアにおける婚姻法の制定は困難を極めましたが、1974年にスハルト大統領の署名により婚姻法(Undang-undang Republik Indonesia Nomor 1 Tahun 1974 Tentang Perkawinan)が成立しました。
まず、婚姻は、各当事者が信仰する宗教の法に従って挙式された場合に適法に成立します。その成立した結婚は、婚姻登録をしなければなりません。
婚姻年齢は、男19歳、女16歳とされており、女性には待婚期間があります。待婚期間は、前夫と死別した場合には130日、前夫と離婚した場合で女性に月経がある場合は三月経期間、閉経後の女性は90日とされています。
インドネシアで結婚し、後に日本に報告する場合の手続き
1 日本人が「婚姻要件具備証明書」を取得する
日本人の婚姻要件具備証明書は、日本人が日本の民法上、婚姻できる状態
であることを、日本政府が認めてくれる書類です。在インドネシア日本大
使館で取得することも、日本国内(法務局)で取得することもできます。
2 宗教にしたがって挙式し、結婚を登録する。
お相手がイスラム教徒の場合
KUA(宗教事務所)において、イスラム教にしたがった挙式と婚姻登録
を行います。登録後、婚姻証明書としてBUKU NIKAH を取得します。
お相手が、イスラム教以外の宗教を信仰している場合
各宗教の方式に従って挙式し、居住地のPENCATATAN SIPIL (民事登録
局)にて婚姻登録を受けます。登録後、婚姻証明として AKTA PERKAWINAN
を取得します。
3 日本に成立した結婚を報告的に届け出る
インドネシアで成立した結婚は、在インドネシア日本大使館に届け出ること
もできますし、日本に帰国して日本の市区町村役場に届け出ることもできま
す。在インドネシア日本大使館に届け出る方法は時間がかかるので、日本人
の方が日本に住んでいる場合には、日本の市区町村役場へ提出するのが一般
的です。
4 インドネシア人のお相手を、日本に呼び寄せる
お二人が日本で結婚生活を送る場合には、お相手が日本で暮らすためのビザ
を取得することになります。配偶者ビザなどと呼ばれますが、正確には、在
留資格と呼ばれ、その申請は、「在留資格認定証明書交付申請」と言います。
日本で結婚し、後にインドネシアに報告する場合の手続き
1 お相手のインドネシア人を日本に呼び寄せる
お相手がインドネシアに居住している場合には、短期査証で日本に呼びます。
2 インドネシア人の婚姻要件具備証明書の取得
在日本インドネシア大使館にて、インドネシア人のお相手の婚姻要件具備証
明書を取得する。
3 日本の市区町村役場で婚姻を成立させる
パスポートその他を提出し、日本の市区町村役場で婚姻を成立させます。
4 在インドネシア大使館に婚姻届受理証明書を提出
在日本インドネシア大使館へ日本の市区町村役場で受取った婚姻届受理証明
書を提出し、その旨の証明を受領する。
5 インドネシア人のお相手の「在留資格変更申請」を行う
今後お二人が日本で結婚生活を営む場合には、短期滞在の在留資格を日本人
の配偶者の在留資格に変更する必要があります。短期滞在の在留資格から長
期の在留資格への変更は法律上例外的な場合を除いてできないこととされて
いますので、申請には、ビザ専門の行政書士を活用しましょう。
6 インドネシア本国で、婚姻の登録を行う
インドネシア人と日本人との結婚がインドネシア国外(日本)で行われた場
合には、その婚姻は、挙行地法(日本法)上有効に成立すれば、インドネシ
アでも有効な結婚として扱われます。
インドネシア国外での結婚は、インドネシアに帰国後1年内であれば登録す
ることができます。「できる」とされているので、インドネシア国内で登録
しなくても婚姻自体は有効であると考えられますが、念のため登録しておい
たほうが安心でしょう。
■この記事を書いた人
行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)
東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。執筆サイト:配偶者ビザ